より危険の少ない選択だったのか。 (2016-01-28)

行政書士のまきのです。

また多くの若い命が失われてしまいました。

スキー場へ向かった貸切バスの乗客が亡くなる、という事故が起きました。運行していたバス会社は規制緩和後のいわゆる新規参入組で運行管理が不十分だったのではないかと指摘されています。事故の直接の原因がそこにあったのか、車両の不具合だったのか、はたまた運転手の操作ミスだったのか、はまだ分かっていません。

少し前にはいわゆるツアーバスが関越自動車道で事故を起こしています。このバス会社も新規参入組で、しかも名義貸しをしており、運行管理も車両管理もずさんであったことがわかっています。これを受けてツアーバスは乗合バスと同じような規制を受けることとなり、また発注者であった旅行業者も規制の枠にはまるようにルールが変わりました。このときはバス業界が規制緩和によって運賃をダンピングした結果、過当競争になりそのしわよせが運転手におよび過密勤務となった、ということで運賃に制限がつけられバス運賃が2割程度上昇する結果となりました。

31年前にも同じような事故がありました。地元の愛知県内の学生さんたちが乗ったスキー場へ向かうバスが国道沿いのダム湖に転落しました。運転手の勤務が非常に過密であったこと、国道のカーブがほぼ直角で、凍結してしており非常に滑りやすい状態であったことなどが事故の原因とされました。

事故を起こしたバス会社は今月の事故を起こした会社とは異なり、地元の大手バス会社でした。

この事故をきっかけに

  • 深夜の運行は2人乗務を基本とすること
  • 運転手一人が1日に乗務できる距離に制限を設けること
  • (より負担の少ない)高速道路を走行すること
  • などの取り決めが行われました。

    わたしが入社した旅行社はグループのバス会社にスキー場行きのバスを運行させていました。わたしたちの旅行社は昼行の近距離のスキー場行きツアーでしたが、バス会社はほかの旅行社さんの夜行ツアーも運行していました。先輩社員やバス会社のみなさんも当然事故のことも、ルールについてもご存じで、夜間の運行や遠距離の日帰りコースでは運転手さんが2人になるので運賃が異なっていました。高速料金も原価に含まれていました。

    事故が起こるたびに運転手の過密勤務が問題となり、その度に運賃の改定が行われています。にもかかわらず、運転手の待遇は良くならず、事故はなくなっていません。

    安全管理の基本は

  • 危険な作業をなくす
  • 作業の時間を短くする
  • 保護具をつける
  • の順で行われます。

    バスの運行では作業の時間を短くする工夫が取られてきました。乗客の命を救う保護具もつけられるようになりました。

    最初の危険な作業をなくす、という点はどうだったのでしょう。

  • より危険の少ない経路(行程)
  • より危険の少ない速度
  • より危険の少ない車両
  • 経路については問題があったとされています。経路の中でも、なぜか、峠道の、一般道を、経験の少ない運転手が担当しています。速度は超過していた可能性が高いです。排気ブレーキやエンジンブレーキが作動していなかったかもしれません。バスには大型貨物のようにスピードリミッターはついていません。車両は燃費のことを考えて軽量化されており、上部や側部の強度はいざ事故が起こってしまうと十分ではないようです。

    乗客や乗務員の安全を第一に考えられた規制であったのか。それを確保した上の規制緩和だったのか。もう一度考え直して失われた命が無にならないようにしてほしいものです。

    当地ではもう一つ忘れてはならないバス事故があります。48年前に起きた飛騨川バス転落事故です。あの時ツアーを出発させた旅行業者の判断はどうだったのか。立ち往生した車両とお客さんを救う手立てはなかったのか。国道41号線沿いには慰霊碑が立ち、亡くなったみなさんの冥福を祈るとともに、繰り返されることのないように今も飛騨川を見つめ続けています。